決戦は土曜日…!
一昨日は〈NHKふれあいホール〉にて【NHK新人演芸大賞】の本選でした。
…いやァ、遂に此の日が来てしまったよ。
くどいようですが、来年の秋に真打ちに昇進しちまいますから、今回がラストチャンスなんですわ。
前回出たのは、忘れもしません…え〜っと、いつだっけ?(←お約束ね)
忘れもしません、3年前。立川志ら乃兄さんの『火焔太鼓』に、私の『やかん』は次点で敗れました…。
そんな訳で、あの時の雪辱を果たす為にも、今回は頑張らなくてはなりませぬ!
予選にエントリーしたのは、東西合わせて60人の若手。その予選を通過した5人は、以下の通り…
桂まん我『野ざらし』
古今亭菊六『やかん』
三遊亭王楽『鼓ヶ滝』
笑福亭喬若『青菜』
立川志らら『壺算』
(50音順)
です。
此の日はとってもいい天気。代々木公園駅から歩いて向かう道すがら、気分がいい事この上ない♪
会場着いてすぐに、緊張感をほぐす為に〈まい泉〉のトンカツ弁当を食べる…が、緊張感ほぐすどころか、お腹いっぱいで眠くなっちゃったよ。
出演者5人が楽屋に揃ったところで、他の4人の方々の写真を撮らせて頂きました。上から順に紹介をさせて頂きます…
古今亭菊六さん。
出場者の中で、彼だけが唯一の後輩。〈二ツ目〉になってから、3年連続で【NHK新人演芸大賞】に出場されている実力派。いつも合コンでもお世話になっております。
桂まん我兄さん。
昨年の【東西若手落語家コンペティション】の時に、此の兄さんに敗れまして…あ、あの時も次点でした。
立川志らら兄さん。
高田文夫先生の下で修業されているから、落語に入れるギャグセンスは抜群です。
笑福亭喬若兄さん。
自称〈落語界の松坂大輔〉。3年前の【NHK新人演芸大賞】でも戦いました。とっても優しい兄さんで、年下で後輩の私の失礼とも思えるボケに、優しく丁寧にツッコミを入れてくれます。
さてさて、先ずはリハーサル。そして本選の順番を決めるくじ引き。
くじ引き…
苦い思い出ばかりが、頭をよぎります。
3年前は、1番を引いて5番の志ら乃兄さんに敗れまして…
そして昨年の【東西若手落語家コンペティション】でも1番を引いて、5番のまん我兄さんに敗れました…。
「今回こそは、5番もしくは3番を引くぞ!」と意気込んで、いざくじ引き。
50音順に引くので、先ず桂まん我兄さん。引いた数字は何と…
3番! (。。;)
「ガーン!引かれちまったよ〜!! (ノ゜O゜)ノ」と、心の中で思いっきり嘆き叫びました…。
「いや、まだ5番があるさ…」と、次に引くのは菊六さん。彼が引いたのは…
5番…! (┬┬_┬┬)
「ふざけんな!こんなもんやってられるか〜!!もう帰る!! (ノ><)ノ」なんて事は勿論云わずに、私が引く番…。
「せめて4番…1番だけは勘弁してけろ〜!」と、私が引いた数字は…
2番… (−_−#)
「何て中途半端なナンバーや…」と思わずにいられない。
3年前の【NHK】、昨年の【東西コンペ】と、私のくじ引きにずっと立ち会ってきた〈米朝事務所〉の大島さんが、私の数字を見て一言…
「1番ぢゃなくて良かったね」と…ウワ〜、捨てられた仔犬を見るような目で俺を見ないでくれ〜!
続いて笑福亭喬若兄さんが1番(←弁当食べながらやさぐれて人差し指を出してる写真なのは、その所為です)、立川志らら兄さんが4番。
楽屋に戻って着替えていると、3年前の覇者…私を通り過ぎていった男(←使い方を鮮やかに間違えてます)である立川志ら乃兄さんがやって来ました。
思わず「ディフェンディングチャンピオンが何しに来たんだ〜!」と叫んでしまいました。
そんな兄さんに「兄さん、くじ引きで2番引いちゃったよ…」と、私が泣き言を云うと、返す刀が格好良かった…
「結果が1番ならそれでいいぢゃん」と…ヒューヒュー、いかす〜♪
…しかし悲しいかな、心に余裕の〈よ〉の字もなかった私は…「フン、口では何とでも云えるんだ…慰めは止してけれ!」と、腹ン中で思っちゃいました♪
さて本番…。
司会は、高山哲哉アナウンサーと…グラビアやバラエティ番組でお馴染みの優木まおみさん♪本物もチョー可愛い〜! O(≧∇≦)o
そういや全く以て余談ですが…リハーサルの時に表彰状を渡すアシスタントの方がいらしたんですが、また此の女性がめちゃめちゃキレイな方だったんですワ。
その女性に見惚れながら、隣りにいた菊六さんに…
王楽「菊六くん、あの人めちゃめちゃ可愛いね♪」
と私が云うと、彼がオツに(←彼はいつ何時でもオツだ。恐らく〈オツの国からオツを広めに来た人〉なんでしょう。とても年下には思えない)…
菊六「兄さんね?そんな事ばっかり云ってちゃダメですよ?もう大人なんですから…」
王楽「大人だって可愛い人は好きだよ。ぢゃあキミはあの娘から『菊六さん、付き合って下さい…』って云われたらどうすんのよ?」
菊六「そりゃまァ…付き合いますよ♪」
王楽「何だよオイ」
…なァんて、今日び小学生でも交わさないような下らない会話をしておりました。全く以て余談ですけど(←世の中にこんな余談もない)。
暗転している舞台に5人が並び、それぞれスポットライトが当てられ司会の方に紹介される…此の時から、異様に緊張してきました。
舞台が明るくなって、会場にいらしたお客様方から万雷の拍手をうける…おっ母さん、アッシは喉から心臓が飛び出そうでした。
一旦舞台ソデに引き上げ、早速開演…!
トップバッターは、喬若兄さんで『青菜』。
此の兄さんの落語は、優しい人柄が出るので、私は大好きです。まだ固かったお客さんを、見事に和まして下さいました m(__)m
続いて、早速私の出番…。
ネタは『鼓ヶ滝』。
「ここまで来たら、稽古したものをぶつけるだけだ…エーイ、どうにでもなれ!」と、高座に上がる。
しかし、始まって間もなく事件が…!
鼓ヶ滝の前で西行が歌を詠むところで、ほんの一瞬アタマが真っ白になってしまったんです! (>_<)
その一瞬が、自分には何十秒にも感じられました。
それでも何とか持ち直して、噺を信じて最後まで演り遂げました。若き日の西行になったつもりで…。
3番手は、まん我兄さんで『野ざらし』。後半部分で拍手がくる程に盛り上がりました…王ちゃんピ〜ンチ!
まん我兄さんが終わったところで、前半3人が舞台に並んで審査員の方々からお言葉を頂戴する。緊張していて、何を云われたか殆ど覚えておりません…皆さん、オンエアを御覧下さいまし m(__)m
後半、先ずは志らら兄さん。マクラを一切ふらずに『壺算』へ。
不利と思える入り方をしたのですが、どんどんお客さんを自分のペースに持っていき、最終的には今回一番の笑いをりました…王ちゃん、またもやピ〜ンチ!
最後を飾ったのは、菊六さんの『やかん』。3年前に私が演ったネタですが、やはり私と同じく三三師匠から教わったそうです…後進における三三師匠の功績は、素晴らしいものです。
またコレの出来が良く、お馴染み講釈部分では拍手喝采だったのよ…王ちゃん、崖っぷち!
後半お2人が並んで、審査員の堀井憲一郎さんが…
「対照的なお2人でしたが、志ららさんは師匠である志らくさん譲りのスピーディーな語り口とギャグで、今回一番の笑いをとっておりました。菊六さんは、今回の出演者の中で、唯一人だけ一回も噛まなかった。講釈部分もお見事で、今あれだけやれる方は真打ちにもそういないと思います」
なんて事を仰てましたが、全く以て私も同感です…おっ母さん、息子は精一杯戦いましたよ? (-_-;)
それから審査の時間…正に〈最後の審判〉だ。
お客様と〈じゃんけん大会〉している優木まおみさんの声が、遥か遠くの方から聞こえる…その間の私の顔は、驚く程に青かったのではないかと思われます。
協議の結果〈大賞受賞者〉が決まったらしく、審査員の方々が舞台ソデにやって来る。
再び我々5人は舞台上に並び、その横に審査員の方々が集まる…いよいよ発表だ!
審査員の神津友好さんが、スタンドマイクの前に立ち…
「それでは発表します!平成20年度【NHK新人演芸大賞・落語部門】の大賞は…」
ドラムロールが鳴り響く。めちゃくちゃ心臓に悪い。今後の人生に於いて、出来ればもう聞きたくない…。
アタマの中で「どうせオイラぢゃない…」を反芻する。「神様、助けて〜!」と目をつぶった瞬間、神津さんから出た名前は…
「三遊亭王楽『鼓ヶ滝』!」
名前を呼ばれた瞬間です…師匠の円楽の顔がぱっと浮かんだ直後、カッコ悪い形でガッツポーズをしてる自分がいました。
NHKの製作局長・茂手木秀樹さんから表彰状とトロフィーを頂きました…思えば表彰状なんて貰ったの、人生で初めてだと思います。
審査員の一人・喜味こいし師匠からは花束を頂きながら「僅差だったよ?」とのお言葉…そらそうだ、確実に自分ぢゃないって思ってたぐらいですから…。
高山アナから「何故この噺…『鼓ヶ滝』を選ばれたのですか?」と聞かれた私は「何となく、です」と一発ボケて(←此処でやっとボケる余裕が出来ました)一言…
「来年真打ちに昇進してしまう自分にとって、今年が最後のチャンスでした。正蔵師匠が語る此の噺に感動して稽古をつけて頂き、何遍かかけていく内に、コレで勝負しようと決めたんです。コレでダメなら自分の実力がないんだな、と…」
興奮冷めやらぬままフィナーレを迎えまして、それから囲み取材。気分はスターです♪
大賞受賞者は【東京落語会】と『笑いがいちばん』に出演させて頂けるのですが、番組を見て驚きました…
【東京落語会】には、父親・好楽の出演が決まっていたのです!奇しくも〈親子共演〉に…。
かたや『笑いがいちばん』は、稽古をつけて下さった正蔵師匠の司会ですし…此の時ほど〈ご縁〉を感じたことはございません。
楽屋に戻ると、立川志ら乃兄さんが一言「おめでとう」と云いながら、握手をしてくれました…油断すると泣きそうになったのは、云うまでもありません。
とにかく最後の戦いで勝ち取れたのは、非常に嬉しいです。
師匠の円楽、そして正蔵師匠に、心から感謝致します…あ、ついでに兄弟子・好楽にも… m(__)m
ちなみに放映日は、11月24日(月)の15時30分から16時39分だそうです。激戦の模様を、是非ご覧下さい♪
フゥ〜、打つのに疲れちゃったよ… (;´・`)(←読む方も疲れるよ…)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
夜遅くにこんばんは。王楽さん、新人演芸大賞受賞、おめでとうございますm(u_u)m!!日曜日の朝刊で、王楽さんの受賞を知りました\(^▽^)/!!来月24日の大賞オンエア&『笑いがいちばん』、必ず録画して、“永久保存版”にしちゃいます!!o(^▽^)o
投稿: スガワラサラ | 2008年10月21日 (火) 01時43分
NHK新人演芸大賞本当におめでとうございます
ドキドキしながら読ませてもらいました
明日のにぎわい座でお話が聞けるのを楽しみにしていますね
投稿: けいちゃん娘 | 2008年10月20日 (月) 22時02分
王楽さんはじめまして。
この度は大賞おめでとうございます!
これからも頑張って下さい。応援してます!!
投稿: M | 2008年10月20日 (月) 21時14分